2021年はじめ、これからの民泊業界について改めて考えてみた

2021年はじめ、これからの民泊業界について改めて考えてみた

新年あけましておめでとうございます!

皆様はどのようなお正月をお過ごしでしょうか?
私は特に新年だからといって特別なことはなく、
いつも通りに仕事に打ち込んでいる所存であります。

 

私は正月のようなイベントの盛り上がりにはあまり影響されないタイプで、
今年一年の目標を新たに立てようとか、
お正月だから気分が改まるというと言ったことはあまりありません。
ただ、このコロナ禍においては緊急事態宣言が出て急激に予約が減ったり、
入国規制がかかったり、かと思えばGoToトラベルが開始されたりなど
外的要因が目まぐるしく変化するような状況であったため
会社のお金周りのことに関してはいつも以上に注意を払っていました。
毎月末の会社のファイナンス状況のチェックをして、
月ごとに例年よりも短いスパンで行動計画の見直しを行っていたこともあり、
今年2021年の元旦も同じように行動計画を見直し、
改めて会社の中長期の暫定的な目標を定めたりしていました。

 

2020年を振り返ってみてると、
おそらく多くの方とって激動の一年であったのではないでしょうか?
去年の初め頃から猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
特に観光業・宿泊業に関しては多くのダメージを受けたと言われています。
弊社としても売上の大半をインバウンドが占めていたためダメージは大きく、
新興ベンチャー企業としては大荒れの一年となってしまいました。
弊社の宿泊予約状況はと言いますと、
中国の旧正月の時期にあたる去年2020年の1月下旬ごろから予約のキャンセルが増え始め、
その次の2月と3月に関しては、前年比売上70%減となってしまいました。
さらに、4月に入ると緊急事態宣言が発令され、予約が全てキャンセルになってしました
創業以来初めて月間予約が「ゼロ」という状態になりました。

 

創業からコロナ禍まで成長を続けてきた弊社でありましたが、
ここまでくると逆に清々しいというか、笑ってしまうくらいの陥落具合でした。
弊社としては早めに余裕を持った資金繰りを行い、
これからwithコロナ・afterコロナと言われる時代に備え、
コロナ以前のことも含めてこれまでのことを見つめ直し、
課題を克服し、長期戦に望む構えであります。

 

私だけでなく、民泊業界に関してもこのコロナ禍においては
これまでインバウンドの需要増大に支えられてきた
多くの民泊ホストさんたちが撤退を選択し、
同業者の中でも破産申請をした会社や事業をたたむ決断をした会社も多くありました。
ほんの2~3年前であれば民泊用物件を賃借し、保健所に登録をしてairbnbに出せば
ある程度立地がよければどんな物件であっても
稼働率80%以上を達成し、月売上が家賃の3倍は取れるといった状況でしたが、
そんな状態からはまるっきり一変してしまいました。
副業感覚で片手間で行っているホストさんも多く、
経営基盤が整っておらず、手元のキャッシュが潤沢でないホストさんたちにとっては
たとえ家賃1ヶ月分であったとしても赤字になるというのはかなりの痛手です。

 

民泊物件がここまで増えた背景として、
個人のホストさんだけだなく、
その物件を供給する不動産業者をはじめとする関連業者が絡んで、
物件を増やしてきたという背景があります。

止まることを知らなかったインバウンド需要。
需要が供給を上回っている状態では必要以上に質を追求するよりも、
とにかく多くの箱を作って供給する必要があります。
そこで小規模な投資家さんたちをターゲットとした「民泊ビジネス」というものを
投資商品としてたくさん売り出してその結果、
民泊という宿泊施設としての「箱」が増えていったという流れです。
この「事業者優位」のこの状態がこのコロナ禍において
逆に供給過多になってしまったということです。
コロナによって民泊だけでなく宿泊業界のそのような弱点が露呈されてしまいましたが、
実はコロナ以前もこのような傾向はありました。

 

話は変わりますが、
よくメディア等の記事を見ると以下のURLのような
単価が高い物件がGotoトラベルの恩恵を受けて、
単価の低い物件がGoToトラベルの恩恵を受けていないという報道を見かけましたが、
本当にそうでしょうか?

https://newspicks.com/news/5499209?ref_q=%E6%98%9F%E9%87%8E&ref=search_999932&ref_t=comment

確かに
・単価が高い宿泊施設の方が比較的ブランド力が強く、固定の根強いファンを抱えている
ことから結果的に高単価の宿泊施設の方がGotoの恩恵を受けた
ということも考えられ、単に
・単価が高い宿泊施設の方がGoToの割引額が多いから
という理由だけではないともいえるでしょう。

また、このコロナ禍において旅行やビジネスなどで外出するかどうかを
迷っている方は多いです。
単価が高い・低いにかかわらず、
外出したくなるほど見込み客に対して強く訴求できた会社が
GoToの恩恵を受けたと言っても過言ではないでしょう。

ちなみに、上記記事にあるコメント欄で星野リゾート代表の星野佳路氏は
価格帯によるGoToの恩恵の差に関して疑問を呈しています。

 

ただし、私はここでこの問題に関しては
どちらが正しいかということを言いたいわけではありません。

このコロナ禍において星野リゾートのようにブランド力が高く、
固定の根強いファンを抱えている宿泊施設は強いです。
特にこのコロナ禍において、
旅行やビジネスなどで外出をするかどうか決めかねているという予備軍が
たくさんいるという状況下で、
今まで蓄積していたブランドイメージから見込み客に対して強く訴求し、
行動を促すことができるというのは大きなアドバンテージです。

GoToのデータによる効果に関しては結論を出すのは時期尚早かと思いますが、
私はwithコロナ・afterコロナと言われるこれからの宿泊業界に関しては
この「根強いファンを抱えているかどうか」が鍵になってくると考えています。

これまでのように有り余った宿泊客に対が旅行・ビジネスをした
「ついで」という理由で宿泊施設に泊まっていただくのではなく、
「TOMARESTだから」という理由で泊まっていただけるような
サービスをクリエイトしていきたいと切実に思っています。

もっというと
一泊以上の旅をするためについでに必要になってくる宿泊施設の
「機能」を提供するのではなく、
TOMARESTだから泊まりたいという宿泊施設の
「価値」を提供するということです。

 

実際、弊社運用物件でも肌感覚ではありますが
大人数でテレビゲームやシアタールーム・バーカウンターなど
様々な面白みがあるパーティールームタイプの物件に関しては
GoToの恩恵を受けて予約が回復傾向にありますが、
泊まることに特化したシンプルな少人数のアパートメントホテルタイプの物件に関しては
稼働率が低い傾向があります。

もちろん、弊社のブランディングはまだまだ浸透しておらず
知名度もほとんどない状況ですが、やはりこれらのことからも
部屋でパーティーができるという「価値」があって
「この物件だから行きたい」という顧客ニーズの傾向の現れではないかと考えています。

これからも当面の間、
感染拡大が広がったりなど需要の波はあると思いますし、
前年に比べてはまだまだ人の出入りは少ない状況が続きそうです。
しかし、そのような外的要因とは関係なく取り組めることとして
宿泊業者として「旅と共に生きる」という芯をベースに
「TOMARESTだから」と思ってもらえるような
新たな価値を提供できるような内部の仕組みづくりを
本腰を入れて取り組んでいきたいと思っています。

時代の変化に対して柔軟に対応していくというのは重要です。
確かに手元のキャッシュがシビアになるこの状況下で、
物件の運用を代替案へシフトしていくというのも一つの手です。
民泊業界に近いところでいうと
「スペース貸し」「マンスリーマンション」などなど
一時的な応急措置として転用するのも一つの手であると思います。
ただ、苦しい状況を早く抜けるため色々試行錯誤したくなる気持ちはわかりますが、
私は安易な多角化には反対です。

 

今後もコロナウイルス感染拡大の第3波と(ワクチンの開発具合にもよりますが)
苦しい局面が続くことが予想される中、
まさに弊社は大きな変革の時を迎えようとしています。
我々は宿泊業者として「旅と共に生きる」をテーマに
この一年は
芯を保ちつつ、柔軟に変化をし、
「TOMARESTだから」
来てくれるような新たな価値をクリエイトし続ける会社を目指したいと思います。

TOMAREST代表取締役 安原 俊勝